住宅庭園の調査方法 |
個人住宅庭園の調査を行う場合,きれいな庭の家ばかり調査すると
いった偏りが起こらないようにすることが重要である.
ランダムネスが担保されるような標本抽出法でなければならない.
新聞社の選挙予測や世論調査には,電話番号をランダム
に生成するRDD(Random Digit Dialing)がよく用いられている.
また,電話帳や住民基本台帳から標本を抽出する方法もある.
調査対象地域の住宅一軒一軒が明瞭に記載されている詳細住宅地図(1:2000程度)を
用いて,調査対象家屋を抽出する方法を基本とした.
電話帳や住民基本台帳による標本では,対象者が一軒屋に居住しているか
マンションなどの共同住宅に居住しているかわからないので,
一軒屋が直接サンプリングできる詳細住宅地図を用いた.
青葉区の調査では潟[ンリンの青葉区住宅地図2000年版を用いた.
レディング市では1959年作成の住宅地図をレディング大学の図書館でコピーして入手した.
フライジング市ではミュンヘン工科大学のカスコルビ(Cascorbi)先生の紹介により,
フライジング市の都市計画局で詳細住宅地図をコピーした.
一様乱数を用いて詳細地図
をランダムに打点し,打点された地点が個人の一軒屋と思われる住宅を調査対象とした.
地図によっては,商業施設や団地あるいは山林,河川などが地図の大半を占めるため,
1軒も調査対象となる住宅がない場合もあった.
この標本抽出法では,地図のページの中で一軒屋の住宅地が占める割合が多いほど
多くの一軒屋が抽出され,また,面積の広い敷地に居住する人ほど高い確率で
調査対象家屋に選定される.日本とイギリスでは,50,000uあたり一軒程度の抽出
割合で,ドイツではこの倍程度の抽出割合であった.
なお青葉区の調査では,調査対象家屋の住人のご好意により,友人の庭の景観調査 を紹介していただいた場合が数件あった.このサンプルは無作為標本ではないが, 景観の分析に用いた.
対象家屋をアポイントなしで研究員2人以上で直接訪問した.日本と英国の調査では
居住者が留守の家庭は土日を利用し
て再訪問したが,2度留守な場合はその家屋の調査をあきらめた.
また,ドイツの調査では時間を節約するために留守家屋の隣の家屋を数件訪問した.
直接訪問したのは,対象家屋の情報は地図上の位置だけで,対象家屋の住人の
電話番号や正確な氏名が不明なため直接アポイントが取れないためである.また,
アポイントを取ってから訪問すると,住人が変に気を使ってきっれいに花を飾ったりして,
通常の屋外景観と異なる景観を作ってしまう恐れがあり,
実態調査が偏りを持ってしまう可能性も考慮した.
居住者が在宅の場合,調査をお願いする文書を居住者に提示し,調査許可が得られた ら,調査者の1人が居住者に庭や園芸植物に対するアンケートを行い, もう1人が300万画素程度の解像度をもつデジタルカメラ(ミノルタRD3000)で 庭などの屋外景観を20〜50ショット程度撮影した. 撮影の際には写真上での色の表示を確認するために8色のカラーパネルを 各対象家庭で少なくとも1ショット撮影した.
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