土壌の上に生育する珪藻もある。肉眼では水が無く乾いているようにみえても、土の粒子あるいはその間に含まれるわずかな水分を利用して生育する種類である。これらは土壌珪藻と呼ばれ、特有な種類が多い。また、コケの表面に生育する種類もある。これまた、水分の乏しい環境であるが、土壌珪藻とは異なる種類が生育する。
雪や氷の上に生える藻類を氷雪藻と呼ぶが、アイスアルジーはこれとは別のもので、氷の中や氷の下に生育するものである。氷雪藻としては緑藻が有名で、緑雪とか赤雪と呼ぶ色の付いた状態を白い氷雪の上に作り出す。これに対し、アイスアルジーの主役としての珪藻は、肉眼視では淡褐色である。海氷は淡水の氷と異なり、カチカチに固まった状態ではない。そこに珪藻が入って生育している。珪藻が生育するのは、氷の表面側でなく、海水側の方である。最大で4〜5cmの厚さに分布する。珪藻は氷の下にも大量にぶら下がる場合もある。こちらは長いもので50〜60cmにもなる。南極大陸から張り出した氷の下、北極の氷、また、国内では冬季のオホーツク海沿岸のサロマ湖でもアイスアルジーは観測されている。アイスアルジーとしての珪藻の量は大量で、南氷洋ではこれを餌にオキアミが増殖し、そのオキアミを餌としてクジラが生活しているのである。