2008.11.20
母平均に対する区間推定(追加)
母分散 σ2 が既知のとき(5.29 号)
正規母集団 N( μ,σ2 ) から大きさ n の
標本を取り出したとき,標本平均が x- であったとする.標本平均は,
x- 〜 N( μ,σ2/n ) →
z = √n(x- − μ )/σ 〜 N(0, 1)
と分布する.標準正規分布の 97.5%分位点は 1.96 であるので,
標準正規分布する確率変数 z が -1.96 から 1.96 に入る確率は 0.95 となる.つまり,
Pr[ − 1.96 < z < 1.96 ] = 0.95,
Pr[ − 1.96 < √n(x-
− μ )/σ < 1.96 ] = 0.95,
Pr[ - 1.96×σ/ √n < x- − μ < 1.96×σ/ √n ] = 0.95,
Pr[ - 1.96×σ/ √n < μ − x-< 1.96×σ/ √n ] = 0.95,
Pr[ x- − 1.96×σ/ √n < μ
< x- + 1.96×σ/ √n ] = 0.95,
となる.よって,母平均 μ の 95%信頼区間は,
x- ± 1.96×σ / √n
となる.
母分散 σ2 が未知のとき(11.13 号)
分散 σ2 を標本分散 s2
で推定する.データの数が n なので,自由度は n -1 である.自由度 n - 1 の t 分布
の 97.5%分位点 t0 とすると,正規分布のときの 1.96 を
t0,母標準偏差 σ を標本標準偏差 s でおきかえて,
母平均 μ の 95%信頼区間が
x- ± t0×s / √n
となる.
8-3. 母平均に対する t 検定(追加)
帰無仮説 H0:μ = 0,に対して有意水準 5 %の検定を行うとする.
- 母分散既知 −> | z | =
√n ×| x- | /σ > 1.96 なら帰無仮説を棄却(7.3 号).
- 母分散未知 −> | t | =
√n ×| x- | /s > t0
なら帰無仮説を棄却.
- 例題(追加)
-
過去の経験から分散が 9 であることがわかっている正規母集団から大きさ 16 の標本を抽出
したところ,標本平均が 1.5 であった.母平均が 0 であるという帰無仮説 H0:μ = 0,
を検定せよ.
- 解答
- | z | = √n ×| x- | /σ = √16×1.5/3 = 2 > 1.96,
となり,| z | 値が標準正規分布の 97.5%点の 1.96 より大きいので帰無仮説は有意水準 5%で
棄却される.
母平均 μ の 95%信頼区間が 0 を含んでいないので帰無仮説 H0:μ = 0 は棄却される,
と考えてもよい.
- 例題(追加)
-
正規母集団から大きさ 16 の標本を抽出
したところ,標本平均が 1.5 で標本分散が
9 であった.
母平均が 0 であるという帰無仮説 H0:μ = 0,
を検定せよ.
- 解答
- 自由度 15 の t 分布の 97.5%点は t 分布表から 2.13 である.
| t | = √n ×| x- |s / = √16×1.5/3 = 2 < 2.13
となり,| t | 値がこの 2.13 より小さいいので帰無仮説は棄却されない.
母平均 μ の 95%信頼区間が 0 を含んでいるので帰無仮説 H0:μ = 0 は棄却されない,
と考えてもよい.
- 例題
-
あるダイエット法 A を3ヶ月間試したところ,以下のデータを得た.この方法に効果があるかを検定してみる.
帰無仮説は,「ダイエット法 A に効果がない.」であり,ダイエット法の使用前から使用後での体重の減少が0より
有意に大きいか,を検定することで効果の判定が行える.すなわち,
ダイエットの効果:減少量平均 = (使用前体重 − 使用後体重)の平均
としたとき,
帰無仮説 H0 : 減少量平均 = 0
対立仮説 H1 : 減少量平均 ≠ 0
と定式化される.
以下の表の空欄を埋めよ.
Copyright (C) 2008, Hiroshi Omori. 最終更新:2008年11月20日