2011.06.13
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標本平均の分布

母集団とは日本全国の大学生の集合の英語の実力など,ある特性を調べたい集団全体を表す.
いま,正規分布 N(μ,σ2) に従う母集団を考える.すなわち,母平均が μ であり,母分散が σ2 である.
母平均などの母数を調べるため母集団から大きさ n の無作為標本(ランダムサンプル) x1x2,…,xn を抽出したとする.
個々のサンプル xi はそれぞれ平均 μ 分散 σ2 の正規分布に従っている.これを,xiN(μ,σ2),と表記する.
このとき,標本平均
 \bar{x} = \frac{1}{n}(x_1 + x_2 + \cdots + x_n) = \frac{1}{n} \sum_i x_i
が従う分布を考える.

まず,n = 2 のときから考えてみる.2 つのサンプルの標本平均を
\bar{x}_2 = \frac{1}{2}(x_1 +x_2)
と表すことにする.
x1 の平均が μ,分散が σ2 なので,これを E[x1] = μ,Var[x1] = σ2,と表記する.
同様に,x2 の平均も μ,分散も σ2 なので,これも E[x2] = μ,Var[x2] = σ2,と表記する.
すると,x1 + x2 の平均と分散はそれぞれ,
E[x1 + x2] = E[x1] + E[x2] = 2μ,Var[x1 + x2] = Var[x1] + Var[x2] = 2σ2
となる.よって,\bar{x}_2 = \frac{1}{2}(x_1 +x_2) の平均は,
{\rm E}[\bar{x}_2] = {\rm E}[\frac{1}{2}(x_1 +x_2)] = \frac{1}{2}{\rm E}[x_1 +x_2]=\frac{1}{2} \cdot 2\mu=\mu
となる.分散は,2 乗の平均なので外に出すときは係数は 2 乗して,
{\rm Var}[\bar{x}_2] = {\rm Var}[\frac{1}{2}(x_1 +x_2)] = \frac{1}{2^2}{\rm Var}[x_1 +x_2]=\frac{1}{4} \cdot 2\sigma^2=\frac{\sigma^2}{2}
となる.同様に考えると,n 個のサンプルの標本平均 \bar{x}=\bar{x}_n  の平均と分散は,それぞれ,
{\rm E}[\bar{x}] = \mu, \ {\rm Var}[\bar{x}] =\frac{\sigma^2}{n} 
となることがわかる.すなわち,標本平均 \bar{x}  が従う分布は,
 \bar{x} \sim N\bigl(\mu,  \  \frac{\sigma^2}{n} \bigr)
となる.
 
例題 N(50, 100) から大きさ 20 の標本を抽出した.52.24 以上の標本平均が得られる確率は.
解答例 標本平均は,\bar{x} ~ N(50, 5) と分布する.標準化の式より,
(値 - 平均)/標準偏差 = (52.24 - 50)/2.24 = 1
これより標準正規分布で z > 1,となる確率を求める.すなわち,
Pr[z > 1] = 1 - Pr[z < 1] = 1 - 0.841 = 0.159
 
問題: 標本平均の分布
平均 30 標準偏差 8 の正規分布から大きさ 25 の標本を抽出した.
以下の問に小数第1位までで答えよ.解答は数値解答テスト2で送信(半角数字) すること.

第19問:標本平均の標準偏差(標準誤差)
第20問:標本平均が 27.38 以下になる確率