ミクロの生物「珪藻」から川の環境を見つめてみよう
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■水質汚濁 【すいしつおだく】
水が生活排水などによって汚れていること。汚濁の原因物質は、有機物とその分解産物(アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、リンなど)です。汚染という言葉も同様に使われますが、こちらは重金属や化学物質による特殊な汚れに使われることが多いようです。

■識別珪藻群法 【しきべつけいそうぐんほう】
日本の河川に出現する珪藻は約350種類あります。これらは水質汚濁に対する出現特性により、次の3つのグループに分けることができます。

・強汚濁耐性種群 (別名:識別珪藻群A)
きれいな水域からドブのような汚い水域まで出現できる(きれいな水域では、他の群の珪藻もよく増えるので、群集における相対出現率は低下する)。全部で10種。汚濁階級指数は4。
・中汚濁耐性種群 (別名:識別珪藻群B)
きれいな水域から中程度の汚濁水域(α-中腐水域)まで出現できる。全部で64種。例外種をのぞき、汚濁階級指数は2.5。
・弱汚濁耐性種群 (別名:識別珪藻群C)
きれいな水域しか出現できない。識別珪藻群Cに含まれる種類は、強汚濁耐性種と中汚濁耐性種以外の全種。汚濁階級指数は1。


識別珪藻群法は、珪藻群集に含まれる3つの群の割合から水質を判定する方法です。判定結果は汚濁指数で表します(汚濁指数と水質の関係は本ページ下を参照のこと)。珪藻群集における3群の割合を円グラフや帯グラフで表し、水質の状態を視覚的にとらえることもできます。
 



■各識別珪藻群の汚濁に対する出現特性





■汚濁階級 【おだくかいきゅう】
汚れの程度により分類した水質区分のこと。汚濁階級は、きれいなほうから貧腐水(ひんふすい)、β-中腐水(べーた・ちゅうふすい)、α-中腐水(あるふぁ・ちゅうふすい)、強腐水(きょうふすい)と分類されます。

汚濁階級の同義語として水質階級が用いられることがありますが、こちらには汚濁階級のほか栄養階級(貧栄養、中栄養、富栄養)も含まれます。湖沼の水質を表すときは、一般的に栄養階級が用いられます。

■生物学的水質判定法 【せいぶつがくてきすいしつはんていほう】
識別珪藻群法のように、生物を用いて水質の良し悪しを調べる方法。元来、汚濁階級は生物学的水質判定法の結果を表すために考案されたもので、判定にあたっては魚、底生動物(貝類、水生昆虫、ヒルの仲間、イトミミズなどを含む)、原生動物、藻類、細菌類など、さまざまな生物が用いられてきました。

今日、水質の調査では、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)の測定が通常的に行われ、アンモニアや硝酸塩、リンなどの化学物質の定量もしばしば行われます。これらは、採水時の水質を具体的に評価できる方法です。しかし、川の水は絶えず流れており、採水時以前にどのような水が流れていたかを(たとえ10秒前であっても)知ることはできません。これに対し、生物学的水質判定法では、その生物が生きてきた期間の平均的水質を知ることができます。
 

■珪藻を用いた水質判定法の長所
1. 直径15cmほどの石が一つあればよいので採集が容易。経費も安い。
2. 水質が変化しても、他の場所に移動しないので、その地点の平均的な水質を容易に調べることができる。
3. 汚濁の程度や季節に関わらず、何らかの種類が生育しているので必ず調査ができる。
4. 川が深い場合や、川床がコンクリートで石がない場合でも、付着板をつり下げ、それに付着させることができる。また、川岸近くのコンクリートに付着している珪藻をブラシとスポイトで採集することも可能で、河川形態に左右されずに調査できる。
5. 試料を半永久的に保存できるため、必要があればいつでも再分析できる(水そのものを長期間保存することはできない)。また、試料は小びんに入れることができるので、保存場所をとらない。また、永久プレパラートを作れば整理も楽に行える。

■汚濁指数から判定される水の汚れ具合



   

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