2008.11.13
ピアソン χ2 独立性検定の復習
t 検定に用いる t 分布表
8-2.分散未知のときの母平均 μ の区間推定
正規母集団 N( μ,σ2 ) から大きさ n の
標本を取り出したとき,標本平均が x- で標本分散が
s2 であるとすると,t 値は
であるので,自由度 n − 1 の t 分布の 97.5%分位点 t0 と
すると,
Pr[ − t0 < √n(x-
− μ )/ s < t0 ] = 0.95,
Pr[ - t0 s
/ √n < x- − μ <
t0 s / √n ] = 0.95,
Pr[ - t0 s
/ √n < μ − x- <
t0 s / √n ] = 0.95,
Pr[ x- − t0 s
/ √n < μ < x- +
t0 s / √n ] = 0.95,
となる.最後の式を母集団平均 μ の 95% 信頼区間と言う.
- 例題
-
正規母集団から大きさ 16 の標本を抽出したところ,標本平均が 1.5 で,標本分散が
9 であった.母集団平均 μ の 95% 信頼区間を求めよ.
- 解答
-
t0 s / √n = 2.13×√9/√16
= 2.13×3/4 = 1.60,
よって,1.5 ± 1.60,つまり, -0.1 < μ < 3.10 が母平均 μ の 95% 信頼区間
となる.
注)母集団分散が σ2 = 9 とわかっていたとき
(5.29号)と少し違うことに注意せよ.
このときの母集団平均 μ の 95% 信頼区間は,
Pr[ x- − 1.96×σ/ √n < μ
< x- + 1.96×σ/ √n ] = 0.95,
である.このときの例題は,
- 例題
-
過去の経験から分散が 9 であることがわかっている正規母集団から大きさ 16 の標本を抽出
したところ,標本平均が 1.5 であった.標準正規分布の 97.5% 分位点を 1.96
として,母平均 μ の 95% 信頼区間を求めよ.
- 解答例
-
σ=√9=3,√n=√16=4,より,1.96×σ/ √n=1.96×3/4=1.47
よって,1.5 ± 1.47,つまり, 0.03 < μ < 2.97 が母平均 μ の 95% 信頼区間
となる.
すなわち,分散が未知のとき(これが普通)は,分散の推定値である標本分散を用いるので,
推定誤差が伴う.この誤差を考慮した t 分布で信頼区間を構成するので,信頼区間が広くなり,
母平均の推定精度が悪くなる.
8-3. 母平均に対する t 検定
平均 μ,分散 σ2 がともに未知である正規母集団から
大きさ n の標本を抽出したところ,
標本平均が x-,標本分散が s2 であった.
帰無仮説 H0:μ = μ0,
対立仮説 H1:μ ≠ μ0,
の検定は,帰無仮説のもとで,分散既知のときに標本平均を標準化して
えられる z 値,
z =
√n ( x- − μ0 )/σ の標準偏差のところに
標本標準偏差 s を代入した t 値,
t =
√n ( x- − μ0 )/s,
が自由度 n−1 の t 分布に従うことを利用して検定できる.
- 例題
- 通常の飼育方式では,鶏の1ヶ月の成長量が平均 100gであることが知られて
いるとする.新方式 A による飼育方法を 25 羽で試したところ,平均成長量が 105g であり,
標本標準偏差が 10g であった.新方式 A は通常の飼育方式と成長量が有意に異なるか
検定せよ.ただし,自由度 24 の t 分布の 97.5%パーセント点は 2.06 であり,
99.5%点は 2.80 である.
- 解答例
- 新方式による成長量の母集団平均を μ とおき,通常の飼育方式の成長量の
母集団平均を μ0 = 100 とおく.
この問題での帰無仮説(H0)と対立仮説(H1)は,
H0:μ = μ0
H1:μ ≠ μ0
と定式化される.検定に用いる検定統計量は,標本平均を標準化した t 値の絶対値
である.
標本の大きさ n = 25 の標本の標本
平均 x- = 105より,
|t | =
√n | x- − μ0 |/s
=5|105−100|/10=2.5
である.新方式の標本平均の標準化値の絶対値 |t | = 2.5 は,両側 5 %点(片側 2.5 %点)
の 2.06 よりは
大きく,両側 1 %点(片側 0.5 %点)の 2.80 よりは小さい.
よって,新方式は通常方式と成長量は 5 %水準で有意に異なると言えるが,1 %水準
では有意でない.つまり,5 %有意である.
Copyright (C) 2008, Hiroshi Omori. 最終更新:2008年11月13日