類似度の計測    (類似度による庭景観写真の評価)

グルーピング実験

 提示された刺激セット(庭景観写真)に対して 「似ている」と思われるものを同じグループにまとめさせ, 全体を3つ以上のグループに分ける.「似ている」の基準は各被験者 個人で勝手に決める.

実験の目的

 被験者集団の主観的・直感的な分類基準により景観写真間の全体的な類似性を計測 することである.「似ている」と思われた景観写真が同じグループ に入るのだから,ある集団における2つの景観写真間の類似度は,この2つの対象を「似ている」 と感じた被験者の数で表せる.この実験から,景観写真間の非類似度行列(距離行列) がつくられる.

横浜市青葉区の庭景観写真を用いた実験

 2000年の5月中旬から6月上旬にかけて, 詳細住宅地図を用いたサンプリング により78軒で訪問調査が行えた.各調査家庭で その庭の雰囲気を最もよく映し出していると感じられた 写真を選び,調査家庭の代表的景観とした. この代表景観が 横浜市青葉区の個人住宅庭園の景観パターン全体 を表現したものと考えた.日本の都市近郊の住宅庭園のパターン分類を行う ことがこの研究の目的の一つである.

 2000年度東京大学農学部3年生31名(男子23名,女子8名)を被験者にして グルーピング実験を行った. これより,横浜市青葉区の78枚の庭景観写真に対し,学生集団における主観的・直感的な 類似度行列 が得られた.これをみると,庭番号1(g01)の写真が番号2(g02)の写真と何らかの理由で 「似ている」と感じたのはわずか4名であったが,番号4(g04)の写真とは18名が 「似ている」と感じた. これより,番号1と番号2との類似度は,番号4より高いと考えることができる.


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最終更新日:2004年 5月20日