栽植密度と施肥量の交互作用効果の検出  (他の形質の変動はどうか:多変量分散分析)

 収量構成要素である「単位面積あたりの穂数(sn)」,「一穂籾数(gn)」, 「登熟歩合(pr)」, 「玄米千粒重(gw)」という順の4変量での処理効果をみるため,多変量分散分析を行った. 後の解釈を容易にするため,各変量平均0,分散1 に標準化した.
 Wilks の Λ による処理効果の分散分析は下の表である. これをみると,主効果はいずれも有意であった.注目すべきは,栽植密度と施肥量 の交互作用が有意となったことである.収量では栽植密度による効果は交互作用. 主効果ともに認められなかったが,収量構成要素では栽植密度効果が認められた. 他の検定統計量でも同様な結果が得られた.

収量構成要素に対する多変量分散分析表
要因自由度 Λ 近似 F 値 num Dfden Dfp
密度1   0.47935.70 421.0   0.0029**
施肥 20.18846.85 842.00.0000***
年次30.10176.39 1255.90.0000***
密度×施肥20.47762.35 842.00.0349*
施肥×年次60.24301.55 2474.50.0778
密度×年次30.52441.29 1255.90.2526
密度×施肥×年次60.31191.23 2474.50.2457
誤差24        
・: 10\%有意,* : 5 % 有意,**:1 % 有意,***:0.1 % 有意
栽植密度と施肥量の交互作用(穂数と千粒重)
収量

 栽植密度と施肥量の交互作用は,どのように表れたかを詳しくみてみよう. 栽植密度と施肥量の交互作用仮説行列を Hαβ とする.自由度 が 2 なので,HαβE-1 の固有値は 2 個得られる. 最大固有値を λαβ とし,固有ベクトルを vαβ とする. λαβ = 0.563 で,全体の 62.4% を説明していた.また, vαβ = (-0.4697, -0.0684, 0.0791, 0.8766)' となった.
 固有ベクトルの値が各変量に対する寄与を表すので,この交互作用は, 1 番目の「穂数」と 4 番目の「千粒重」とで構成されている ことがわかる.標準化したデータで,この2つの変量の交互作用の様子を示したグラフが右 図である.これをみると,「穂数」は,疎植(density1)のときは多 肥(fert3)にすると大きく増加するが,密植(density2)のときはそれ程増加しない. 一方,「千粒重」は,密植(density2)で少肥のとき大きく減少している. これらが交互作用として現れたことがわかる.


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最終更新日:2004年 5月20日