庭景観写真と質問項目との対応づけ
   (多数の質問による庭景観写真の評価) |
質問項目により,似たような特徴づけがなされている
庭景観写真は互いに似ていると考えられる.また,その類似性は互いに高い
該当度合いをもつ質問項目により理由づけできると考えられる.
類似した庭景観写真を近くに配置し,また同時に,集まった庭景観写真に共通して該当する
質問項目を近くに集めるように,庭景観写真と問項目の布置を同時に与える手法が
数量化3類である.この手法は,庭景観写真と質問項目との対応づけを行うので,
対応分析(correspondence analysis)とも呼ばれている.この手法により,
対象と特徴が持つ構造が同時に視覚化される.
いま,i 番目の庭景観写真
(対象)がj 番目の質問項目(カテゴリー)
に該当する程度がfij (≧0) であったとする.これを,
n ×m データ行列 F = (fij ) とする.庭景観写真の
座標を x = (x1,…,xn )',
質問項目の座標を y = (y1,…,ym )' とする.
ただし,A' は A の転置行列である.
この座標は相対的なものなので,その平均(重心)を0 ,
分散を1に標準化する.このとき,庭景観写真座標と質問項目座標間の相関
を最大にするような座標を求めるのが数量化3類である.
数量化3類
- 評価関数
非負のn ×m データ行列 F = (fij ) に対し,
n ≧m を仮定するが,
そうでないときは,以下の算法でn とm を逆にして行う.
要素総和を f.. = ΣΣfij,行和列和をそれぞれ,
f.j = Σifij,
fi. = Σjfij とし,
これらを対角要素とする行列をそれぞれ,
C = diag(f.1,…,f.m),
R = diag(f1.,…,fn.) とする.
このとき,対象座標 x = (x1,…,xn)' と
カテゴリー座標 y = (y1,…,ym)' 間の
性格づけデータによる重み付け距離
を最小にするような座標 x,y を求める
ことにより両者の対応づけを行う.
この数量は相対的なもの(間隔尺度)なので,
一意的に決定するために対象とカテゴリー座標の重みつき
平均と平方和を標準化する.
対象座標では,
を仮定する.カテゴリ−座標でも同様である.
- 対象座標とカテゴリー座標間相関
標準化した座標系では,重み付け距離は
となる.ただし,r は対象数量とカテゴリー数量間の相関,
である.つまり,
重み付け距離 D の最小化は相関 r を最大にすることと一致する.
- 導出方法
相関の最大化は,ラグランジュ(Lagrange)の未定係数法を用いて,
を x,y で偏微分して0とおけばよい.
これより,連立方程式
が得られる.
- 固有値問題
連立方程式にそれぞれ x,y を左から
かけると,r = x'Fy =λ1 =λ2 が得られる.
これより,x = R-1Fy/r となるので代入
して整理すると,
という固有値問題になる.最大固有値は1なので,第2固有値以降を
大きさの順に取り出す.固有値が相関の2乗で,
固有ベクトル y がカテゴリー座標になる.対象座標 x は y から
求められる.
なおこの固有値問題は,y = C-1/2w とおき,
両辺に左から C1/2 をかけて,アルゴリズム的に解き易い
対称行列の固有値問題
に変換することが多い.
最終更新日:2004年 5月20日