SD法による評価実験
   (SD法による庭景観写真の評価) |
SD(Semantic Differential)法は,C. Osgoodが開発した事象の一般的な意味次元
を量るための測定法で,心理学的な実験でよく用いられる.
「好き−嫌い」などの反対語の対からなる
評価尺度を複数用いて対象の評価を行う.
各評価尺度対に対して5段階や7段階の
両極性の尺度で複数の被験者に回答させ,各評価尺度段階
を得点とするリケルト尺度(Likert scale)を用いて数値化して,因子分析により
評価次元を抽出するのが一般的である.
今回の実験では真ん中の「どちらともいえない」
というどっちつかずの評価が頻発する(日本人に多い)のを避けるため,
以下の4段階9項目の評価尺度
を用いた.また,対語のどちらを左右にするかは無作為に選び,
評価的によい言葉が左右どちらかに偏らないようにした.
SD法評価尺度
評価得点 |
1 2 3 4 |
|
項目1: |
嫌い |
|−−+−−+−−| |
好き |
項目2: |
住みたい |
|−−+−−+−−| |
住みたくない |
項目3: |
なじみがない |
|−−+−−+−−| |
なじみがある |
項目4: |
面白い・興味深い |
|−−+−−+−−| |
退屈である |
項目5: |
単純な |
|−−+−−+−−| |
複雑な |
項目6: |
くつろげる |
|−−+−−+−−| |
ストレスを感じる |
項目7: |
雑然・まとまっていない |
|−−+−−+−−| |
整然・まとまった |
項目8: |
緑が多い |
|−−+−−+−−| |
緑が少ない |
項目9: |
窮屈である |
|−−+−−+−−| |
広々としている |
SD法による評価実験
1軒あたり4枚セットである庭景観写真全体の印象から,
上の質問項目に該当する得点を記入する.
実験の概要
SD法実験では,対象家屋の庭景観の代表として被験者に与える刺激は,今までの庭景観写真1枚ではなく,
その景観の別の角度からの写真3枚を組み合わせた4枚セットとした.
これは,特定の写真を選択することにより生じる偏りをなるべく防ぎ,対象家屋のもつ景観
をより多面的に表現するためである.2003年に東京大学農学部3年生24名(男子14名,女子7名)を
被験者にして実験を行った.
各庭景観の評価尺度得点は,個々の被験者評価段階得点の平均とした.この
評価尺度得点
を変量の庭景観写真に対する実現値と考えた.
以下の解析では
評価尺度変量間相関行列
に基づいて解析を行った.
最終更新日:2004年 5月20日