収量構成要素と収量との相関  (他の形質の変動はどうか:多変量分散分析)

 収量の年次変動はみたが, 「単位面積あたりの穂数」,「一穂籾数」,「登熟歩合」, 「玄米千粒重」という収量構成要素は,処理に対してどのように変動 しているだろうか.形質一つずつ分散分析を行って有意な処理効果を 見つける方法もあるが,複数の形質に対して複数の処理効果の検定を行うと, 検定の回数が増えるので,有意でない処理に対しても有意な結果が得られる 確率が増えてしまう.たとえば,4 つの処理効果を5個の形質に対して 5% の検定 を行うと,20回も検定を行うので形質間に相関がなければまったく効果がなくても 平均し 1 つの処理と形質の組み合わせは有意となる.
 このように,複数の形質に対して検定を行うと, どれかで有意な結果が出たとしても,その結果は疑わしいものになってしまう. このため,複数の形質の効果を一度に検定することが望ましい.これが多変量分散 分析という手法である.これは,形質間の相関を考慮に入れた検定手法である.

まず,以下の表の形質間の相関をみてみよう. 相関が高い形質の組はなく,「収量」との 相関では「単位面積あたり穂数」が多少高い程度であった. これらの形質は,年次や処理に対して比較的異なった反応を示したと考えられる.

形質間分散共分散(右上)相関(左下)
  穂数(sn)      一穂籾数(gn) 登熟歩合(pr)千粒重(gw)   収量(gy)    
穂数(sn)2208.24-8.79 -2.44-28.431726.24
一穂籾数(gn)-0.012257.74 -0.71-7.63340.75
登熟歩合(pr)-0.439-0.376 0.0140.0682.86
玄米千粒重(gw)-0.478-0.375 0.4571.60-3.57
収量(gy) 0.4450.257 0.293-0.0346800.27

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最終更新日:2004年 5月20日