質問票による評価実験    (多数の質問による庭景観写真の評価)

質問票実験

 提示された刺激セット(庭景観写真)を1枚ずつ見た印象から, 質問票 の質問項目それぞれに該当すると感じたら1,そうでない場合は0と回答する.

実験の目的

 個々の庭景観写真がどのような質問項目と結びついているのか を調べるためである.質問項目は, 庭に関係すると思われる項目で,「Q2:花がたくさん咲いている」 や「Q11:鉢植えが多い」といった客観的な質問と 「Q7:落ち着いた感じがする」とか「Q20:人工的な感じがする」 といった主観的な印象を問う質問も含んでいる. 質問項目数が32と多いので,被験者の負担を考え 「はい」,「いいえ」の2件法を用いている.
 また,各質問項目の順番は乱数で無作為化しているが, 最後の質問項目だけは,「Q32:この庭は好きですか」という 情緒的評価項目とした.

 ある被験者集団全体で集計すると,ある庭景観写真が各質問項目に 該当すると感じられた割合がえられる.つまり,ある被験者集団における 質問項目による庭景観写真の特徴づけ(プロファイリング)データ が生成される.

横浜市青葉区の庭景観写真を用いた実験

 2000年の5月中旬から6月上旬にかけて, 詳細住宅地図を用いたサンプリング により78軒で訪問調査が行えた.各調査家庭で その庭の雰囲気を最もよく映し出していると感じられた 写真を選び,調査家庭の代表的景観とした. この代表景観が 横浜市青葉区の個人住宅庭園の景観パターン全体 を表現したものと考えた.

 2000年度東京大学農学部3年生39名(男子29名,女子10名)を被験者にして 質問票による評価実験を行った.78の庭景観写真から適当に選んだ 40庭景観写真に対する評価データを集計した.そして,個々の庭景観が 個々の質問項目に該当すると回答した割合が得られた. これを庭景観に対してある被験者集団が感じる プロファイリングデータ とみなした.つまり,庭景観写真がその質問項目の性質を持っている度合いが, 被験者の回答割合で表されていると解釈した.
 このデータをみると,たとえば,番号2の庭景観写真に対して,「Q2:花多い」に 該当すると感じた被験者はいなかったが,番号3の庭景観写真には9割近い被験者が 「Q2:花多い」と感じた.これより,学生集団の感覚では, 番号2の庭は「Q2:花多い」という性格をもっていないが, 番号3の庭は「Q2:花多い」という性格を相当持っていると解釈できる.


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最終更新日:2004年 5月20日