ミクロの生物「珪藻」から川の環境を見つめてみよう
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増殖と生活環
3-5. 培養

3-5-1. 珪藻の培養は難しい?



こんなところで珪藻は培養されている、培養庫の中!
珪藻の培養は他の藻類と比べると比較的難しいといわれていました。思い通りの種類を増やせないというところに一因があります。それでも海産種は比較的よく増やすことができますが、淡水産種のほうが手ごわい種類が多いようです。また増えたとしても、細胞分裂に伴うサイズの減少により、株の保存が難しいという一面もあります。そのため珪藻全体の種数から見ると、培養されている種類は限られたものしかありません。しかし珪藻を殻だけではなく細胞の生物学としてとえるとき、培養株は研究前進のための強力な武器となりますし、殻に基づく分類学も、殻の形態変異を捉えてこそより確実なものとなるのは言うまでもありません。それでも近年、ザネツキー(David B. Czarnecki)が管理するロラス大学の淡水珪藻培養株コレクションでは精力的に株数を増やし、500種ほどの株が保存されるようになりました。

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3-5-2. 北向きの窓辺が好き!?


 珪藻の培養は1896年ヴァンヒュールク(H. Van Heurck)著の『珪藻に関する論文』にすでに方法が載っているように、比較的古くから試みられていました。この本には栄養塩類による培地、純粋培養、顕微鏡下での培養法などのことも書かれています。しかし培養用の恒温器の無い時代のこと、培養ガラス器は北側の窓際に置けと記されています。確かに珪藻には強光下でバンバン増殖する種類もあるのですが、あまり強い光を好まない種類も多いようです。例えばイチモンジケイソウ属(Eunotia)などを強光で培養すると、培養容器の中で蛍光灯と反対側に集まります。

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3-5-3. ビタミンで元気モリモリ


 藻類の培養において、一つの画期的な発見はビタミン類(ビタミンB12、ビオチン、チアミン)の必須要求でした。珪藻でもこれらを必須的に要求する事がわかっており、培養液作りには欠かせない薬品となっています。液体培地、液体と寒天の2相培地、寒天のスラント培地などが使われます。また、現在までさまざまな培養液が考案されていますが、BBM、CSi、Chu-10、NN-1、WC、f/2、PESなどがよく用いられています。

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