ミクロの生物「珪藻」から川の環境を見つめてみよう
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体のつくりと生活
4-1. 体制

体のつくりから見て、珪藻には単細胞性と群体性があります。単細胞性とは1つの細胞が単独で生活していることを指します。群体性とは分裂で生じた細胞が個々の細胞に分かれないで、一定の形をつくり、1個の個体のように見えるものを指します。

4-1-1. 単細胞性の珪藻


 珪藻の多くは単細胞性のものです。単細胞といっても、様々な幾何学的な形をした種類があり、また水中を浮遊したり、何かに付着したり、堆積物中を這い回ったり、生活の仕方もさまざまです。

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4-1-2. 群体性の珪藻

  珪藻の群体には、被殻がもつ結合針(linking spine)で隣合った細胞同士が結びついて鎖状の群体を作るもの(真の群体)と、細胞外に放出した寒天状の粘質多糖類によってさまざまな形態の群体を作るもの(擬群体)とがあります。

 珪藻の群体は、多細胞性の生物と違って、組織だった器官の分化はありませんが、次に述べる鎖状群体に生じる分離殻のように、群体内の細胞に形態的な分化が見られる場合があります。


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4-1-3. 結合針による群体形成


  結合針は一般に殻面周囲にあり、それによって細胞の殻面同士を接触させて、あるいは殻面同士が向き合う形で若干の隙間を残して分裂軸方向に群体を形成するのです。前者にはオビケイソウ属(Fragilaria)などが、後者にはスケレトネマ属(Skeletonema)などが当てはまります。


オビケイソウ属


プンクタストリアータ属
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スケレトネマ属
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ピヌラリア・マキレンタ
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  分裂を繰り返すたびに鎖状群体は長くなりますが、種類によってはある程度の長さになると結合針を持たない分離殻(separation valve)を形成し自ら群体の伸長を断ち切ることをします。ハネケイソウ属のピヌラリア・マキレンタ(Pinnularia macilenta)は一風変わった群体を作ります。それは殻の長軸に沿って片側の殻面周辺にのみ結合針を持つので、分裂軸方向ではなく横方向にジグザグした群体を作ります。

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4-1-4. 粘質多糖類によるさまざまな群体の形成




イタケイソウ属(Diatoma)の
ジグザグ群体

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粘質多糖類で作られる群体にはさまざまな形のものがあります。ハリケイソウ属(Synedra)やイチモンジケイソウ属(Eunotia)の種では粘質多糖のパッドにより叢状群体を作るものがあります。またヌサガタケイソウア属(Tabellaria)のぬさ形群体、イタケイソウ属(Diatoma)のジグザグ群体や、そしてホシガタケイソウ属(Asterionella)にみられる星形群体は粘質多糖類のパッドで細胞同士が接着しているものです。

 タラシオシラ属(Thalassiosira)の種では殻面にある有基突起(strutted process)より粘質多糖類の糸を出し、それによって細胞が一直線状につながります。また、リクモフォラ属(Licmophora)やクチビルケイソウ属(Cymbella)、クサビケイソウ属(Gomphonema)の種では粘質多糖類の柄を作り、その先に珪藻細胞が付着します。この柄は細胞分裂により分岐し、しばしば樹状群体を形成します。

リクモフォラ属の樹状群体
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クチビルケイソウ属樹状群体
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 さらにベルケレイア属(Berkeleya)やヒシガタケイソウ属(Frustulia)のものは粘質多糖類のを作りその中に細胞が縦列するのです。

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ベルケレイア属の群体(肉眼→高倍率)

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