ミクロの生物「珪藻」から川の環境を見つめてみよう
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珪藻群集と環境
5-1. 珪藻の生活圏

5-1-1. 珪藻と環境


 浮遊する珪藻には突起があったり、付着する珪藻は縦溝という装置を備えていたり、珪藻のかたちと生活の場には密接な関係がみられます。いっぽう同じように見える円い珪藻でも、海と湖沼では生理的機能が全く異なる種類が生活していて、このような場合は、殻面の模様を調べると別種であることがわかります。
 珪藻は地球上のいたるところに生育していますが、これはとりもなおさず、膨大な種類数にのぼる珪藻のそれぞれが、地球上の様々な環境に適応して生活しているために他なりません。


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5-1-2. 珪藻の生活圏と生態学的研究


 珪藻の生態学的研究には様々なテーマがあります。海洋における、群集全体の生産量というスケールの大きなテーマがあれば、有孔虫の細胞内に共生する珪藻のように、ミクロの極致のようなテーマがあります。以下に珪藻の生活圏と、生態学的研究の内容をまとめてみました。

海:珪藻類、最大の生活圏。ここで珪藻が行う光合成は、すべての海洋生物の基礎となる一次生産です。またその過程で発生する酸素や二酸化炭素の吸収は大気に影響を及ぼしています。


海洋沿岸部:沿岸ではしばしば赤潮問題と関連してとりあげられています。また干潟の珪藻はムツゴロウやカニの主なエサとなっています。

海氷:アイスアルジーとよばれ、海氷の下にはたくさんの珪藻が生育し、褐色になっていることがあります。

湖沼:身近な研究対象として、群集構成から、季節的消長、一次生産量まで最も詳しく調べられています。

河川:フロラや水質汚濁との関係が主なテーマとなっています。アユや水生昆虫の餌となっています。

その他の地表水:湿った土壌やコケの上など、かなり好気的な環境にもいます。

空中:好気的な種類や休眠状態にある細胞が飛散して、分布を広げている可能性があります。

地中:珪藻の遺骸は、殻が化石として残るので、古環境の推定に用いられます。

共生:海産ミジンコやクジラに特異的に付着している珪藻が知られています。有孔虫の細胞内にも共生しています。


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珪藻土の顕微鏡写真 (©昭和化学工業株式会社)


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